アメリカ便り9

【今日のひとこと】 2015年7月6日

(今田 慧・6期塾生)

僕の学校では6月13日から夏休みに入りました。8月末までの長い夏休みです。
6期生の皆さんはあと20日くらいで高校最後の夏休みですね。

僕は今Juniorなので、来年Seniorの夏休みが高校最後の夏休みになります。しかし、今年の夏休みが、大学受験で一番忙しい夏休みになります。何故ならば、Seniorの5月最初に進学大学が決まり、6月初めには高校を卒業してしまうので、Seniorの夏休みには、大学受験勉強も宿題も何も無いからです。それがほぼ2ヶ月半続くので、遊びだけではなく、興味のある会社や大学の研究室でインターンなども出来ます。もちろん長い海外旅行をする人もいます。ここは高校卒業後1-2週間しか休みがない日本との大きな違いです。

最初に僕に関するニュースです。
1. 昨年10月に応募した僕のエッセイが、2月末に日本語検定委員会が主催の第6回日本語大賞の優秀賞に選ばれました。
今年のテーマは「今、伝えたい言葉」です。昨年2014年に引き続き2年連続で優秀賞とその副賞5万円受賞です。
(下記webをご参照下さい)
http://www.nihongokentei.jp/amuse/grandprize/06_result.html

2. 今年4月末に、昨年のNational Honor Societyメンバー承認に引き続き、その一部門であるChinese Honor Societyのメンバーに推薦され、承認されました。このSocietyには、高校で中国語を学ぶ生徒が推薦されて承認されます。

さて、前回約束した数学の授業の話です。実は、この数学に関する原稿は2014年初めに書いたのですが、僕は数学が飛び級で、内容が6期生の皆さんに合わなかったので、今年まで投稿を延ばしていました。しかし、少し延ばしすぎたようで、最後に書いた問題例が易しくなりすぎているかも知れません。あと、古い表現でしたので、できるだけ直しました。最後に、今年の、つまりJuniorでの数学の授業に関しても付け加えました。

数学の授業は飛び級があるのでかなりややこしいカリキュラムになっています。僕の学校では中学からの授業計画が図のように立ててあります;図参照。この図で、6th gradeが日本の中学一年生に相当します。アメリカでは、9th gradeから12th grade迄の四年間が高校です。一つのステップ、例えばPre-Algebraを終了し試験に合格したら、次のステップのAlgebraに進めます。試験に合格しない場合にはもう一度同じPre-Algebraを習います。

図に書かれているCMPではConnected Math Projectが提供する教科書を使います。小学校で飛び級をしている生徒は、CPM Iを既に終了していますが、僕の中学校では入学後の6th grade(6年生、日本では中学一年生)では全員Course-2に入りCMP Iをやるので、小学校で一学年上を習っていた僕は、それを2度やったことになります。そのCMP Iをやっている間に先生が試験の成績などから各生徒の飛び級やじっくり級を決め、7th gradeになってからCourse-1からCourse-3に振り分けられます。普通の生徒はCourse-2です。Course-3は数学が出来る生徒ばかりの特別なクラスでは無く、単に一学年上の数学の授業のクラスに入るだけです。なので、そのクラスには当然数学が不得意な生徒もいます。飛び級で受けられなくなった授業は自分一人で勉強して追いつくことになります。
僕は中学から高校一年生(9th grade)までは一学年上のCourse-3、2013年の夏休みのPre-Calculus飛び級試験に合格したので、2013年九月の高校二年生(10th grade)からは二学年上のクラス(この図には書かれていない、いわばCourse-4)に入りました。なので、高校二年生(10th grade)のCourse-3でやるべきPre-Calculusの授業を全く受けず、2013年九月からCalculus-Iの授業に入り、2014年九月からはCalculus-IIを習い、2015年の一月からは、普通の高校のcourseにはないCalculus-IIIの授業を受けました。
Pre-Calculusでは、Key Curriculum Press出版の”Precalculus with Trigonometry — Concepts and Applications”という教科書を使い、三角関数 (trigonometric functions)、指数関数 (exponential functions)、対数関数 (logarithmic functions)、データへの直線・曲線の当てはめ (fitting functions to data)、確率・順列・組み合わせ (probability, permutations, combinations)、三次元ベクトル (three-dimensional vectors)、行列変換 (matrix transformations)、フラクタル図形 (fractal figures)、円錐曲線 (conic sections)、極座標 (polar coordinates)、複素数 (complex numbers)、数列・級数 (sequences, series)、多項式関数 (polynomial functions)、有理関数 (rational functions)、極限 (limits)などを習います。
実は、この多くは九年生のAlgebra 2Bで基本的なことを習いました。ただ、Algebra 2Bの授業では、実際には時間がなくてやらなかった内容が多くあり(例えば三角関数の加法定理 (sum and product properties)や倍角・半角定理 (double argument and half argument properties)、回帰関数 (regression functions)、相関係数 (correlation coefficients)、極限 (limits)など)、それらをPre-Calculusで少し詳しくやるようです。僕が2014年九月から2015年六月までに習った授業は、多変数関数 (functions of multiple variables)、偏微分 (partial derivatives)、微分方程式 (differential equations)、ベクトル関数 (vector functions)、関数の級数 (series of functions)、二次曲面 (quadratic surfaces)などです。
2015年九月にSeniorになったら、大学の授業を受けるように勧められましたが、まだ、高等統計 (Advanced Statistics)、ビッグデータ (Big Data)や高等数学トピック (Advanced Topics in Mathematics)など、僕の学校で習える面白そうな授業があるので、大学の数学の授業ではなく、これらの授業を受けることにしました。Advanced Statisticsでは、信頼区間 confidence intervals、有意差検定 tests of significanceや、実際のデータを使っての統計計算方法を習います。今はやりの Big Dataでは、統計とプログラミングを使って大量データの処理、その可視化、プログラムの効率、人工知能、データ構造などを習い、実際の計算機プログラムはPythonとその特別なパッケージであるSciPyの中のPyLabライブラリを使って作ります。計算機言語Pythonは、2013年の夏に、Johns Hopkins Universityが母体の Center for Talented Youthが主催した3週間のSummer Campで習ったので、それを使ってのプログラミングが楽しみです。Advanced Topics in Mathematicsでは、非ユークリッド幾何、マルコフ連鎖、離散数学、数論、抽象代数、フラクタルやカオスを習います。

ということで、僕は2014年1月までに、実数の多項式関数、三角関数、指数関数、対数関数の一次導関数、二次導関数、合成導関数とその応用まで習い、六月までに実数の初等関数の不定積分、定積分とその応用を習いました。
授業では、最初の2、3回は先生が教えてくれます。それが終わると、先生が微積分 (calculus)に関連する50問程度の問題を生徒に配ります。生徒はその中から三つの問題を選んで解き、その解き方をみんなの前で発表します。数学が得意でない生徒はその中の易しい問題を選び、得意な生徒は難しそうな問題を選んで発表します。時間制限はありませんが、一人だいたい5-10分程度を使います。難しく説明するとみんなから質問が飛んできます。出来るだけ易しく説明することが重要で、それにより仲間の評価 (peer reviewと言います)も上がります。数学の授業では、他にConvincing Argument(CAと略されます)の宿題があります。これはどの定理を使ったのかをはっきり示し、抜けが無いように論理をきちんと追って、誰もが分かるように数学問題の解法を書く宿題です。例を最後に添付します。(※添付をご参照)

2013-2014年の二学期間(2013年9月~2014年6月)に、普段の授業で宿題として出た問題の例を示します。
1. Find dy/dx for the following functions. (x^3はxの3乗、ln=eを底とするlogつまり自然対数, e= 2.71828… Napier数もしくはEuler数を示す)
a. y=cos(x)/(1-2sin(x))
b. x^2 – 2xy^2 = 3y^3
c. y = ln((x^2)(e^x))
d. y = cos(sin(3x))
e. y = arcsin(x^2)
2. Compute the following integrals. (∫は積分記号)
a. ∫((1+ln(x))^2)/x dx
b. ∫x(4-6x^2)^(1/4) dx
c. ∫xsin(x) dx
d. ∫(2x+1)/(x^2-7x+12) dx
e. ∫dx/(xln(x))
3. Find the exact area between the curves of y=x^3+5 and y=-x+5 for 0?x?2.
4. Find the following volume of the solid created by y=x^2, x=0, and y=4.
a. Rotated around the x-axis.
b. Rotated around the y-axis.
c. Rotated around the line y=6.
5. Water is being poured into a conical reservoir at the rate of pi cubic meters per second. The reservoir has a radius of 6 meters across the top and a height of 12 meters. At what rate is the depth of the water increasing when the depth is 6 meters?

2014-2015年の二学期間(2014九月~2015六月)に、普段の授業で宿題として出た問題や試験問題の例を示します。
6. Suppose that over a certain region of space the electrical potential V is given by V(x,y,z) = 8x^2 – 7xy + 7xyz. Find the rate of change of the potential at (-1, 1, -1) in the direction of the vector u = 8i + 10j + 8k.
注意:u, i, j, kはvectorで、i, j, kは、それぞれx方向、y方向、z方向の単位vector.
7. Analytically find the arc length of the curve r(t) = 8*sin(t)i + tj + 8cos(t)k between the points (0, π, -8) and (4√2, 9π/4, 4√2).
注意:πは円周率。i, j, kは、それぞれx方向、y方向、z方向の単位vector
8. Find the equation of the tangent plane to the surface f(x,y) = 4(x^2)y – 7x(y^2) at the point (1, 1, -3).
9. Use Lagrange multipliers to find three positive numbers whose sum is 500 and whose product is a maximum.
注意:Lagrange multiplier: ラグランジュの未定乗数
10. Suppose you need to know an equation of the tangent plane to a surface S at the point P (2,1,3). You do not know an equation for S, but you know that the curves, r1 and r2 shown below,
r1(t) = (2+3t, 1-(t^2), 3-4t+(t^2))
r2(u) = (1+(u^2), 2(u^3)-1, 2u+1)
both lie on S. Find an equation of the tangent plane at P.
11. Show that F(x,y) = e^(-x)*cos(y) – e^(-y)*cos(x) is a solution to the Laplace equation, Fxx + Fyy = 0.
注意:Fxは関数Fをxで偏微分した関数(一次導関数)、Fxxは更にそれをxで偏微分した関数(二次導関数)。eは2.71828…つまりNapier数もしくはEuler数。
12. Given the differential equation: 2y” – y’ – 3y = 0
a. Analytically find the general solution.
b. Use your result from part (a) to analytically find the general solution to the following differential equation: 2y” – y’ – 3y = e^(2x).
13. The solution to the following initial value problem is called the Bessel function of order 0.
(x^2)y” + xy’ +(x^2)y = 0, y(0)=1, y’(0)=0
Show that the solution to this differential equation is the series given below.
Jo(x) = Sigma(n=0 to infinity) [(((-1)^n)*(x^(2n))) / ((2^(2n))*(n!)^2)]
In order to receive full credit on this problem, you should solve the differential equation above and confirm that your solution is consistent with the series shown as Jo(x) above. Partial credit will be given for showing that the function Jo(x) does, in fact, solve the differential equation given above.
注意:y’はyのxに関する一次導関数。Sigma(n=0 to infinity) [f(n)]は、f(n)をn=0から∞(無限大)まで加算する。
14. A pentagon is formed by placing an isosceles triangle on a rectangle. If the pentagon has fixed perimeter P, find the length of the sides of the pentagon that maximize the area of the pentagon.
注意:ここで言うpentagon、五角形は野球のホームベースの形で、長方形の上に二等辺三角形が乗った形です。

ここまで読んでくれてありがとう。
次回は、アメリカの大学受験戦争について、時間が出来れば書きます。夏休みが明けて授業が始まると、宿題、普段の小試験、本試験と受験勉強で毎日が午前0時過ぎの就寝だからです。

※【CA問題と回答はこちらからご覧ください】
CA問題の例
CA回答の例

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