歴史地震とリアルタイム地震測定の研究

【今日のひとこと】 2013年2月13日

(木村円香・7期塾生)

~東京大学地震研究所・気象庁地震火山部・宇都宮大学教育学部において、地震について学んだこと~

私は学校で、理科学部に所属しています。平成24年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)として実施している地震の研究をしています。これは、(独)科学技術振興機構(JST)により採択されました。
中学校・高校合同で研究を行い、その一貫として、東京大学地震研究所・気象庁地震火山部・宇都宮大学教育学部において、学んだことをご報告します。

1.理科学部における地震の研究
テーマ:「首都圏が被災した歴史地震の継続調査とリアルタイム地震観測」
~過去の被害地震に学び、地震活動の現況を把握し、将来に備える~

理科学部における今までの研究で、「歴史地震を学ぶことの重要性」を認識し、「石碑や文献から考えられる防災対策」を学びました。
今年度は、調査する地震の事例や地域を拡充させるため、学校所在地の埼玉県内を調査対象地域とし、グループに分かれて下記の歴史地震資料を調べました。

・埼玉県立図書館(浦和・熊谷など)、市町村立図書館に保存されている文献等
・埼玉県立歴史と民俗の博物館に保管されている資料
・寺・神社・街中に建てられている碑(石碑・木簡)等
・寺や神社などに保管されている日記の記録

夏休み期間中、私は日本で最も暑いとされている熊谷近隣について調査をしました。
学校で既に学習していましたが、古文で書かれており、私は得意ではないので難しいものは古文の先生に教えて頂きました。
以上の調査結果を取りまとめ、学術誌「歴史地震」(第28号)へ論文を投稿しました(査読中)。
私も一部分担当しましたが、初めてだったので連日深夜までかかり、大変でした。


(写真:埼玉県児玉郡上里町神保原町の安盛寺の慰霊碑)

2.東京大学地震研究所 (講師:西山昭仁先生、桑原央治先生)
 (1)  江戸時代における三都での地震被害
  9月に、西山先生と桑原先生が本校に来校され、私は先生方の講義を受けました。
    そして、江戸時代に起こった下記 三件の地震について学びました。
    寛文近江・若狭地震・・・1662年 京都での被害
    安政南海地震・・・・・・    1854年 大坂での被害
    安政江戸地震・・・・・・    1855年 江戸での被害

「六国史」以来の歴史書、公家や僧侶の日記、村方や町方文書等、様々な史料・古文書に地震の記述が散見できるそうです。また、地震や津波被害の様子が「挿絵」や「瓦版」に描かれているのは、江戸時代以降だそうです。

  (2)  東京大学地震研究所の見学
   11月に、東京大学地震研究所(東京都文京区弥生)を見学しました。

① 地震観測の歴史~地震観測は振り子から
日本における最初の地震観測は、明治5年(1872年)、政府のお雇い外国人であったオランダ人フルベッキにより、東京・日本橋で長さ6フィート(約1.8メートル)の振り子を使い、行われました。また、ドイツ人クニッピングもこれと別に振り子による観測を行いました。
明治8年(1875年)、東京気象台(気象庁の前身)が設けられ、明治13年(1880年)には、横浜地震がきっかけとなり日本における近代地震学もお雇い外国人によって始まりました。

(写真:資料室に展示されていた地震計)

② 資料室・図書室の見学 ~鯰絵(なまずえ)にみる地震
資料室では、様々な地震計が展示されていて地震計の仕組みを学びました。
図書室では、「鯰絵」の実物の展示もありました。それは、江戸時代に鯰が地震を起こすと信じられており、人々が地震を起こした鯰をこらしめる絵など様々な鯰絵がありました。それらは、江戸で大流行したそうで、文字資料だけでは分からない被害の具体像や、当時の人々の行動や対応を知ることができ、とても有効な資料だそうです。

写真:鯰絵(左)・図書室(右)

3.気象庁地震火山部 ~監視業務の見学 (講師:斎藤誠先生)
 11月に、気象庁(東京・大手町)を見学しました。斎藤先生は、昨年の夏休み、私が参加した新潟県糸魚川市で開催の「地震火山こどもサマースクール」でもご一緒しました。地震が発生した直後の気象庁による記者会見によく出ていらっしゃるそうです。
庁内にある気象科学館をはじめ、24時間地震並びに気象現象の監視業務を行っている現業室、判定会議室と記者会見室も見学しました。

(写真:気象庁記者会見室の見学の様子/会見席中央は、気象庁の斎藤先生です)

4.宇都宮大学教育学部 ~地震による地下構造の推定 (講師:伊東明彦教授)
  12月に、宇都宮大学(栃木県宇都宮市)を訪れました。教育学部の伊東先生の講義を受け、微小地震計を用いた人工地震による地下構造の推定を行いました。
野外で微小地震計を線状に設置し、人工地震(地面を大型のハンマーのようなもので叩き発生)を起こし、各地震計が記録する地震データから地下構造を推定しました。各観測点で得られた自然地震の地震データについて、P波初動とS波到達時刻の読み取り等から震源を決め自ら解析できるようにすることが目標です。
併せて、地震波の基本を学び、地震波が観測される仕組みについて理解できるようにします。
今後、顧問の先生(高校地学の先生で、東京大学地震研究所出身)から、波動関数を教えて頂き、私が将来進みたい物理学の側面からも理解を深めたいと考えています。

(写真:設置した微小地震計)

5.所感
  歴史地震の調査から、今日に通じる防災対策や地震学上の発見を見出す研究を、私が所属します理科学部は積極的に行っています。その上で、今回の訪問は今後の研究を進めていくにあたり、とても有益な知識並びに経験となりました。今後は、私の学校に、昨年末に設置した地震計の観測体制を部員で検討し、研究内容を一層深めていくつもりです。

昨年の夏合宿の講義の中で、有馬塾長から東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)についてお話がありました。
地震発生前に歴史地震の研究などにより過去において、同等の規模の地震が東北地方に起こっていたという少数の地震学者の意見があったそうです。その意見が少数だったため、多くの人々は見逃していて、東北地方にそれほどの巨大地震は起こらないと思っていたそうです。有馬塾長は、その少数の意見を見逃していたことを悔いているとお話されていました。
私はその話を聞き、歴史地震の研究の重要さを再認識し、理科学部の活動を通じ、もっと地震に関して理解を深めていきたいと考えています。


写真上:東京大学地震研究所での集合写真/中学校・高校理科学部部員・顧問の先生方です
(前列左側・・・東京大学 桑原先生/前列右側・・・東京大学 西山先生)

6.補足~国立歴史民族博物館の浮世絵 (千葉県佐倉市)
 私は小学生の時、国立歴史民族博物館(千葉県佐倉市)によく出掛けました。
その時、浮世絵(多色刷りの版画)の特別展示がありました。体験コーナーもあり、鯰絵の版木にインクを付けて印刷しました。私は鯰絵が何か良く分っていませんでしたが、今はそれが重要な歴史地震の史料だと知りました。また、佐倉城の桜が美しい春休みに是非、歴史民族博物館に出掛けたいです。尚、浮世絵は常設コーナーにも展示されています。

*国立歴史民族博物館  http://www.rekihaku.ac.jp/

<東京大学地震研究所> 鯰絵

「大地震焼失市中騒動圖」
安政江戸地震・・・1855年11月11日午後10時 (安政二稔十月二日夜亥刻) 
・規模:マグニチュード7程度
・震央:東京湾北部から江東区付近
・地震のタイプ:内陸直下型地震
・死者数:7000人以上
・天気:薄曇り、微風

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