アメリカ便り 10 (2)

【今日のひとこと】 2016年1月20日

(今田 慧・6期塾生)

※今回は、「アメリカ便り 10(1)」のつづきです。(事務局)

エッセイ  Essay

アメリカの大学の多くでは、共通入学願書(Common Application)を提出すれば、それが日本でいう入学試験になります。共通入学願書は、これまで説明してきた上の三つの要素(共通試験、高校の成績、課外活動)を含み、さらに、エッセイも含む入学願書です。そのエッセイは、4〜5題与えられる題材の中から、自分の好きな題材を選んで書きます。その題材は、例えば、”Some students have a background, identity, interest, or talent that is so meaningful that they believe their application would be incomplete without it. If this sounds like you, then please share your story.”とか”The lessons we take from failure can be fundamental to later success. Recount an incident or time when you experienced failure. How did it affect you, and what did you learn from the experience?”、”Describe a problem you have solved or a problem you would like to solve. It can be an intellectual challenge, a research query, an ethical dilemma — anything that is of personal importance, no matter the scale. Explain its significance to you and what steps you took or could be taken to identify a solution.”などですが、これは毎年変わります。今年は全部で五つの題材がありました。その中から一つを選び、長さ650語以内のエッセイを書きます。

難関校の中には、共通入学願書のエッセイの他に、独自のエッセイを求める大学が多くあります。それらの中には、どうしてこの大学を受けるのか、他の大学ではなぜダメなのかとか、この大学に入って一体何を学びたいのかなどです。例えば、”This University UUUU is an extraordinary learning community bound together by a vibrant culture of innovation and a vision to change science and engineering education to make it a fun, engaging and meaningful experience. Students at UUUU are deeply involved in creating and improving the UUUU experience each year. As a UUUU student, what do you hope to contribute to UUUU? (up to 300 words)”とか” Tell us a story from your life, describing an experience that either demonstrates your character or helped to shape it. (up to 600 words)”とか”List the books (if any) you’ve read this year for pleasure. Choose one and in a sentence describe its impact on you.”とか”What is our society’s Achilles’ heel? (300 words)”とか”In 150 to 250 words, please write about why you are interested in applying to and attending University VVVV.”などです。

 

共通入学願書 Common Application

エッセイの節でも少し説明しましたが、多くの大学では、この共通入学願書だけを提出すれば、それがその大学への入学願書になります。なので、共通入学願書さえ書いてしまえば、その同じ内容を、大学名を変えて、志願する大学に提出できるので、多くの大学に簡単に入学願書提出ができます。ここでは、このアメリカ便りの最初で簡単に説明しましたが、入学願書の一つ目の事務的な内容について、この共通入学願書の節でもう少し説明します。なぜならば、日本の大学の入学願書には書かないような内容があるからです。共通入学願書の記入事項は、受験者氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、民族(僕の場合は”Asian”)、使える言語(僕の場合は日本語、英語、中国語)とその中の母国語(僕の場合は日本語)、誕生地、国籍、アメリカでの居住地位(僕の場合は”Permanent Resident”)とその証明書の番号、社会保障番号(日本でいうマイナンバーのような番号;アメリカでは個人毎に、生まれた時に割り当てられるので、成人ではない高校生でも持っています;また、Permanent Residentにも自動的に割り当てられます)、最終学歴(僕の場合は僕の高校の名前;これは高校卒業後、工業高校や短期大学や別の大学に行った後でその大学を受験する人もいるから)、直近で受けている高校での授業の科目、賞罰(停学や退学経験があるのかも)、そして受験生を良く知る2名以上の人(通常は高校の先生やサッカー・ピアノなどの習い事の先生)からの推薦書などです。他に、必須エッセイ以上に訴えたい、あるいは主張したい特質を持っていれば、それを書く欄が一つあります。さらに、両親の氏名、住所、職業、学歴、電話番号、メールアドレス、両親は結婚しているのかなども書かなくてなりません。この他に、もちろん、SATもしくはACTの点数(正式には、その担当組織、例えば、The College Boardから直接大学に送られるのですが、一応、共通入学願書にも正直に書く)、課外活動一覧、エッセイが含まれます。

 

その他

アメリカには、大きく分けて二種類の大学があります。一つは、広く知られているHarvard UniversityやStanford University、University of California System (例えば、University of California, Los Angeles、UCLA)などの総合大学、もう一つは、一つか数個の学科から成るCollegeです。この総合大学に、また二種類あり、一つは州立大学(アメリカには、国防省あるいは軍が関与する大学以外に、いわゆる国が関係する大学はありません)、もう一つは私立大学です。Collegeは、通常Liberal Arts Collegeと呼ばれていて、日本でいう教養学部的な大学です。Collegeの難関校には、Williams College, Swarthmore College, Pomona College, Wellesley Collegeなど、日本ではあまり知られていないCollegeが多くあり、多くの有名人が卒業生です。このLiberal Arts Collegeには、通常、大学院は無いので、大学院進学希望者の多くは、卒業後、他の総合大学の大学院を受験します。詳しくは「リベラル・アーツ・カレッジ」でinternet検索して下さい。細かく言えば、Liberal Arts Collegeの他に、Community Collegeと呼ばれる二年制の短期大学があります。

これらの二種類の大学を合わせると、アメリカには約4,000もの大学があり、日本の約5倍で、それぞれの大学に異なった特色があるので、自分に合った大学を選ぶのも大変ですが、楽しみでもあります。例えば、難関校でも、四学年の学生数が340名の小規模のcollegeから30,000人の大規模なuniversityまであります。さらに、大学の授業料(tuition)も州立か私立かで大きく違います。州立の場合には、その州の住人(resident)かどうかでも大きな開きがあります。一年間の授業料は、その州の住人(resident)で$10,000〜$14,000(120万円〜168万円;大学によってもこれだけ開きがあります;US$1.00=120円)、州外住人(nonresident)で$32,000〜$38,000(384万円〜456万円)です。私立大学の一年間の授業料は、大体$35,000〜$50,000(420万円〜600万円)でかなり高くなります。通常は、大学入学前の最低2年間その州に住んでいれば州内住人として認められます。この授業料の他に、親元から通わない場合には学生寮の寮費と食費などで大体$15,000〜$20,000かかります。この生活費は州立でも私立でも大きくは違いません。なので、一年間の費用は、親元から自分の住む州立大学に通う一番安い場合で$25,000〜$34,000、学生寮に入って私立大学に通う最も高い場合で$50,000〜$70,000です。四年間通学しますから、合計で約$100,000〜$280,000(1,200万円〜3,360万円)です! 日本の大学では、一年間の授業料が、国立大学が約50万円、私立大学が約100万円(医学部は約350万円)なので、生活費を150万円とすると、幅が大きい入学金などは除いて、四年間で、国立大学で800万円、私立大学で1,000万円(医学部3,000万円)なのでしょうか。 アメリカで、私立の良い大学に行こうとすると、3,000万円などという額のとんでもない大金が必要になります。日本の医学部に6年間通うのと似たような額です。なので、普通の庶民の学生は、奨学金を借りたり、大学に入ってからアルバイトをしたり、銀行からお金を借りたりします。

国の奨学金を希望する場合には、別途、両親の昨年の全年収や、所有している財産の総額など(例えば、親が所有している家や別荘の価格はもちろん、会社を所有していたらその会社の価格も!)を書いたかなり込み入った書類を提出しなくてはなりません。また、この国の奨学金を受けるためには、アメリカ国籍が無くても兵役に登録しなくてはなりません。運が悪ければ、日本国籍でアメリカ国籍が無くてもアメリカ兵として戦場に送られるのでしょうか!? さらに、他の多くの奨学金も、この国からの奨学金をいくら受けているのかなどを参考にするので、多くの受験生が国からの奨学金を希望することになります。高校によっては、大学を受験する全生徒に、国の奨学金の申込書を出させます。

また、希望者の多い難関校では少ないのですが、成績が良い合格者には、大学が奨学金を出すことがあります。これが成績に基づく(merit-based)奨学金で、もう一つは、学費を払えない人のため(need-based)の奨学金です。通常は、これらの奨学金を足しても、学費には足りないので、大学が紹介してくれるアルバイトで学費の足しにします。例えば、図書館の本を書架に返すアルバイト、大学の駐車場の料金係、大学食堂の店員などのアルバイトです。アルバイトも成績順に大学から紹介されるので、それでも足りない人は借金をします。卒業後、少しずつ返していきます。そういう事情があるので、高校の成績や共通試験の成績を上げたり、成績だけでは競争に勝てないので、課外活動にも一所懸命になります。時間がいくらあっても足りません!

 

おわりに

アメリカの大学受験と日本の大学受験が大きく違うことを書きました。アメリカの受験戦争は高校四年間の勝負で、その方が、自分がやりたい内容や自分の実力に合った大学に行けるような気がします。日本では、5年後くらいに東京大学に合格する人工知能を持ったロボットを作るプロジェクトが進んでいるようですが、アメリカの難関大学に合格できる人工知能を完成するには、20年、30年、いやもっとかかるかも知れません。それを作るのは僕らの役目なのでしょう。でも、どうがんばってもロボットなどにはできない、つまり人間にしかない高度の知能を見つけ、それを十分にあるいはより大きく発揮させるようなシステムを作るのも面白いと思います。これだと人間が主体になります。

このアメリカ便りは10回目になりましたが、この最終回まで読んでくれて有難うございました。6期生の皆さんが希望の大学に入って活躍できることを祈っています。何年後になるのか分かりませんが、育成塾で学んだ皆さんと世界のどこかでお会いできるのを楽しみにしています。

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アメリカ便り 10 (2) への1件のコメント

  1. juku より:

    大学受験の仕組みが詳しく分りました。
    有難うございます。(事務局:坂本)

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